2005年12月10日

余白の芸術

広大なキャンヴァスに、ただ一点の筆跡。静寂の中に、ピーンと張り詰めた緊張感・・・
ただ今、横浜美術館において李禹煥(リ・ウファン):余白の芸術(LEE UFAN:THE ART OF MARGINS)が開催されています。

李禹煥は1936年韓国生まれ。現在は日本を拠点に創作活動を展開する現代作家です。
大きな石と鉄板が置いてあるだけの彫刻、キャンヴァスの一部にわずかな筆の跡があるだけの、ほとんどが「無」の絵画など、その作風は極めてシンプルです。
余白の芸術とは、彼にとって「作る」ことにおいて最小限でありながら、最大限の交感をもたらすこと。
言い換えれば「作らない」で「作る」こと。彼は、この難しいテーマに、30年以上も取り組んできたそうです。
だから、この「作る」部分が絶妙で、それによってお互いの関係性や、緊張感が見事に生まれています。

僕自身、写真においてシンプルな作画を好むので、こういう作家が好きになってしまうかもしれません。
また「余白」の世界は、日本人の価値観や精神性に相通じるものがあるので、スッと入っていけるのかもしれません。
ただ、李禹煥の作品からは、国や地域の匂いが不思議と感じられません。
そんなところも、また好感が持てるのですが・・・

この展覧会、12月23日までです。
期間中に横浜へは行けそうにないので、非常に残念です。
首都圏にお住まいの方は、ご覧になってはいかがでしょうか。
詳しくは「横浜美術館」のHPをご確認下さい。



posted by Coju at 17:40| Comment(6) | TrackBack(3) | art | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
K-FUNKさん、トラックバックありがとうございました。掲載されている写真をいくつか拝見しました。楽しいですね。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by ジョヴァンニ・スキアリ at 2005年12月10日 17:58
>ジョヴァンニ・スキアリさん
こちらこそ、ありがとうございます。
写真も見ていただいて。
お名前、素敵ですね(^^)
Posted by K-FUNK at 2005年12月10日 23:07
こんばんは。コメントまでありがとうございました。

>李禹煥の作品からは、国や地域の匂いが不思議と感じられません

この点は私もとても魅力的だと思います。
東洋的とか、そのようなステレオタイプに陥らない所が良いですよね。
作品の質感、その場で真っ向勝負。
作品こそ静謐ですが、大変なエネルギーをお持ちの方なんだなと思いました。
Posted by はろるど at 2005年12月12日 00:54
TBありがとうございました。
私もグラフィックデザインや写真などではシンプルな作品に惹かれることも多いので、この展覧会の情報を見たときに、瞬間的に 好みだな、と思いました。
でも実際に作品の前に立ってみると、空間の絶妙な配置が持つ威力がじわじわと伝わってきて、期待以上に良かったですよ。
Posted by YYB at 2005年12月12日 01:18
TBありがとうございました。
私はこの展覧会ではじめて彼の作品を目にしたのですが、シンプルな空間のとりこになりました。
そして不思議と、押し付けがましくないんですよね。
Posted by なつ at 2005年12月13日 00:40
>はろるどさん
どこを「作る」かっていう決定力というか、緊張感がすごいですね。
それが静謐でありながら、とてつもないエネルギーを感じるのかもしれませんね。

>YYBさん
空間とか配置って、大事ですよね。
それだけで伝わるものがある。
それを拘り抜くのもすごいと思います。
僕も実物を観てみたかったです。

>なつさん
「押し付けがましくない」ということが、他の現代アートと一線を画す点ではないかっていう気がします。
Posted by K-FUNK at 2005年12月13日 23:03
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